人はみな知らないおばあちゃんに褒められているのだろうか?

わたしは、知らないおばあちゃんに褒められることがある。
他の人がどのくらいの頻度で知らないおばあちゃんに褒められているのか分からないので、自分だけがよく褒められていると思うのは間違いかもしれない。
でもなんか定期的に知らないおばあちゃんに褒められるのだ。

年配の女性に道を聞かれたとき、偶然隣り合わせたときなどに「かわいいね〜」と突如言われることがある。
美人を褒めるときのテンションではなく、孫を褒める時のテンションであることを感じている。
もう30代も半ばなのに、孫力(まごりょく)が高い。

この間、夫と卓球場へ遊びに行った。
卓球場には5台の卓球台が並んでおり、私たちの左隣ではご婦人3人組が、右隣では父親と小学生2人が遊んでいた。
ご婦人たちの中には結構年配の方もいたので、元気だな〜すごいな〜と思っていた。

私も夫もスポーツとして真面目に卓球をやったことがない。
そのため、頻繁にボールが手元をすり抜け、隣の卓球台の方へ転がっていく。
逆にご婦人たちのボールが私たちのところへ来ることもあった。
にこやかに「すみませ〜ん」と言い合って和やかなムードだった。

そんなときに一番年配のご婦人がニコニコしながら私を見て、「あんまりかわいいから見とれちゃうわね〜、きょうだい?」と聞いてきた。
きょうだいに見えるのか?と驚きつつも「え?わたしたちですか?」と聞き返し、「夫婦です」と付け加えた。

すぐあと、夫が右隣でプレーしていた小学生たちの父親に「きょうだいですか?」と聞いて、「きょうだいだそうです!」とご婦人に言った。
……そりゃそうだ!!!!!!
30代の男と女が卓球していてもかわいくないし、小学生の男の子と女の子が卓球していればかわいい!

つまりご婦人は、わたしたちの向こうにいる小学生がかわいいね!という意味で話しかけたわけである。
恥ずかしすぎる。小学生がいる場で、自分がかわいいと言われたと勘違いしている30代怖すぎる。おばあちゃんはわたしを褒めてくれるという思い込みが傲慢すぎる。総じてキモすぎる。

それ以降、わたしはものすご〜く居心地の悪さを感じていた。
ラリーをしながらこのアホ〜!と頭の中で卓球のラケットで自分を何度も殴った。
ご婦人、もうこっちを見ないでおくれ。穴があったら入らせておくれ。

ご婦人たちは、わたしたちよりも早くに帰って行った。
一番年配のご婦人は、「バイバイ!」と軽やかに声をかけたあと、その場を去ろうとしたが、またわたしの方に近づいてきた。

「ほんっとかわいいわね〜!」

今度は勘違いしませんよ!

と思ったのも束の間、ご婦人はわたしの頬を手で包んで、「こんなかわいい人なかなかいないわよ〜!」と言った。勘違いではなかった。

知らないおばあちゃんの手。あまり気持ちが良くない。褒められたけどね。

asukal

くまの○ーさんでいうところの○リストファー○ビンのポジション

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