「お席で注文」と同じくらい気になっている言葉がある。
「お席で注文」の話はこちらから↓
その日、わたしと夫は昼食に何を食べるか決めかねて、結局某ステーキチェーンに入ることにした。
わたしが中学生くらいのころの話。
そのチェーン店は「シェフが焼いています!」とプロがこだわって焼いていることをアピールしていたのだが、実際に焼いていたのは知り合いのお母さんだった。ちなみにパート。
もちろん今はそんな宣伝をしていないと思うけど、当時はこの話が鉄板ネタだった。ステーキだけに!
わたしたちのテーブルに付いて注文をとってくれたのは、「研修中」の名札を胸に付けているスタッフだった。
お、ゆっくり仕事覚えてくれたらええで。
わたしが心の中でにこやかに応援する中、研修中の彼はひと通り注文を取り終えたあとこう言った。
「ご注文、確認したほうがよろしいでしょうか?」
あたらしいパターンだ。
今まで飲食店で経験してきたのは、「確認されるパターン」と「確認されないパターン」のみである。
しかし、ここへ来て第三の選択肢、「確認するかどうかを委ねられるパターン」が発生してしまった。委ねられてしまった!
うーん、どうかな?
間違えていなければどちらでも構わないので、確認したほうがいいと思うならしてもらって、しなくていいと思うならそれでいいんじゃないですかね。あなた次第ですね。
簡単に言うと、「こちらに聞かれても」である。
ただ、彼の胸にはまだまだ青い「研修中」の札が引っ付いている。
きっと慣れていなくて言い間違えたんだろう。
そう思ったわたしは「大丈夫です……。」と答えた。
しかし、新人スタッフが去った後もあの返答で良かったのか?という気持ちが残った。
やっぱり復唱してもらったほうが間違いがなくてよかったかもしれない。
抱えきれなくなったわたしは夫に「確認してもらったほうがよかったかな」とこっそり漏らした。
そしてゆっくり周りを見回してみる。
すると別のテーブルからも聞こえてくる。
「ご注文、確認したほうがよろしいでしょうか?」
あ、マニュアルなんだ。
マニュアルならますますおかしいよ!
注文ミスを防止したいなら確認すればいいし、手間を省きたいなら確認しなければいい。
するかせんかの確認は、いまいち意味の所在がつかめない。
真意をご存知の方はぜひ教えてほしい。
新人スタッフが夫のステーキにソースをかけてくれたが、勢いよく大量に流し込んだのでビッチビチに飛び跳ねてわたしまでのけ反った。
ソースは鉄板からはみ出て、挙げ句の果てにテーブルから垂れている。
そのため、わたしのソースのときは、飛び跳ねないように慎重に少なめにかけてくれた。
若者の目まぐるしい成長を目の当たりにできてニコニコだ。
わたしはソースが少なすぎるステーキを頬張った。