こんにちは。

最近フィットボクシングで運動を始めました。

ボクシングは、幼馴染と地元の高校のボクシング部が主催する練習に参加したり(1回だけ)、ジムに通っていた時はボクササイズのクラスに参加したりと、昔から興味を持っているスポーツです。

あだち充の漫画を読んで育ったからかな?

フィットボクシングも楽しいのですが、リズム感が無くてなかなか良い成績が取れません。

昔から、リズム感がないのがコンプレックスです。

その度に、私、ハロプロ研修生になれないわと思います。

 

さて、本日は、山内マリコ著『一心同体だった』を読み終えましたので、ブックレビューを書いていきます。

 

一心同体だった あらすじ

小学4年生の千紗は最近、親友の裕子より、活発な美香に惹かれている。裕子と帰る約束の水曜日、美香に誘われてしまい――「女の子たち」

中学生になった裕子はある日、同じクラスだけど一度も話したことがない、美人のめぐみを探すことになる――「アイラブユー、フォーエバー」

女子高を卒業しためぐみは、三年間自分のことを写真に撮りつづけてくれた北島に手紙を書く――「写ルンですとプリクラの青春」 

映画監督を夢見て東京の大学に進んだ北島だが、なし崩し的に挫折。しかし歩美との出会いがあった――「白いワンピース殺人事件」

10歳から40歳まで。全8話、それぞれの年代の女子の友情が、ロンド形式でつながっていく連作短編集。わたしたちの平成30年史。

光文社

 

山内マリコさんといえば、『アズミ・ハルコは行方不明』や『あのこは貴族』などが映画化されていて有名でしょうか。

装丁の愛らしさや、ロンド形式という点が気になって選んだ一冊でしたが、選んでよかった1冊となりました。

 

 

一心同体だった ポイント

ここからは、ネタバレを含みますので、見たくない方は、狂犬病予防接種のドタバタ劇でも観て下さい。

予防接種ドタバタ劇

最近、昼食をとりながらこのシリーズを観るのが大好きです。

 

■氷河期女子の30年史

この物語は、ロンド形式で、主人公がバトンタッチしながら進んでいく短編でもあります。

10歳から40歳までそれぞれの年代における苦悩や楽しみを時代と共に歩んでいく話です。

全てが全て、女子なら共感できるということはないかもしれませんが、あぁこういう時期あったな、こういう悩みあったな、などと思える作品です。

 

■日本版『82年生まれ、キム・ジヨン』

『82年生まれ、キム・ジヨン』といえば、韓国で大ベストセラーとなり、映画化もされたいわゆる”フェミニズム小説”です。

キム・ジヨンが女性としてどのように生きてきたかということが、彼女の成長を通して描かれる小説ですね。

この、『一心同体だった』の主人公たちは皆、1980年生まれ。

国は違えど、キム・ジヨンと同世代で同じ時代を生きた女性たちの話でもあります。

その中で、彼女たちが何を感じ、何に悩んできたのかという点はキム・ジヨンの人生と少し重なるところがあると感じました。

 

 

一心同体だった 感想

 

■実はみんな案外普通

この小説はロンド形式なので、前章の登場人物が次の主人公になるのですが、前章で特別な存在だと思われていた子も、次章で語り手になれば、案外普通の人間なのだと分かります

中学では、綺麗で一目置かれていた青柳めぐみだって、自分を肯定してくれた北島遥に思い出を語っちゃったりして、そんな北島遥も、憧れを胸に入学した大学の映画研究会に辟易したりします。

あぁ、人から見れば眩しくて憧れの存在でも、本人自身はそんなにあっけらかんと生きていないし、人間として悩むこともあるだろうと思わされて、ここがロンド形式の面白いところだと思いました。

そして、彼女たちが夢破れて地元に帰っていったと、読者たちに軽く知らされるところも、あぁ若い頃の夢って叶わないことの方が多いよね、人づてに聞くことも多いよね、と納得してしまいます。

加えて、友人関係についても同じで、絶対仲良しでいられると思っていても、環境が変われば今までと全く同じようには行かないですよね。

そういった段階を経て、どんどん歳を取っていく感覚を改めて思い出しました。

 

■友達と話し合っているみたい

この物語は、私にとってすごく読みやすい本でした。

なぜならば、話の内容にとても心当たりがあり、描かれる人物像もとても想像しやすかったからです。

小学校時代の「選ぶ側の子」と「選ばれるのを待つ子」のくだりや、結婚式で独身女性だけ炙り出される「ブーケトス」などは、私自身が経験してきたことでもあります。

なんだか誰も悪くないのにバツが悪い、そんな瞬間たくさんあったなぁ。

そして、憧れの美人も、サブカル大学生も、バリキャリも、パッと自分の頭の中に浮かぶ存在で、とても身近に感じました。

また、中高時代、結婚していない先生はちょっと変だなと思っていた感覚や、20代後半の漠然とした結婚への焦りが友人から自分へ連鎖していく感覚、でも恋愛至上主義って気持ちが悪いなと思う感覚……、この物語を通して、忘れていたことをたくさん思い出しました。

また、年齢が上がっていくにつれ、社会を見る目がどんどん変わっていくというのも、自分自身がとても感じる点でもありました。

 

■個人的なことは政治的なこと

個人的なことは政治的なこと(The personal is political)とはご存知の方も多いかと思いますが、1960年代頃から始まった第二次フェミニズム運動のスローガンです。

この物語の主人公たちも、ルッキズム、女性労働者への扱い、子育て中の孤独などに知らず知らずのうちに巻き込まれています。

物語の後半になるにつれ、この風潮がはっきりと出ているなぁと感じました。

特に、最終章の主人公が、社会へのアンテナをしっかりと張っていることにより、日本社会の不完全さと個人が抱えている問題がリンクしているという点がしっかり描かれていました。

やはり年齢を重ねて、たくさんのことを経験してきたからこそ、尚更そう感じられるのだろうと思います。

「保育園落ちた」「医大入試女子差別」なんて、個人的には関係ないかもしれないけれど、当然憤りを感じるし、その問題がもっと早急に解決できる社会であったならば、もっと色んなことが発展しているはずですよね。

 

■考え方によってはエグい小説

正直、私自身はこの本を読んで、かなり凹んでしまいました。

そう、描写が秀逸であるが故に!人物が想像しやすい故に!エグみを感じたのです。

私は、田舎で長年、普通の一般職として仕事をしていました。

自分の給料では一人暮らしもできず、他の家族(この場合両親ですね)にフリーライドしている状態でした。

私の職種の問題ではなく、誰もが週5日8時間働いていたら、普通に生活できるだけの給料もらえないものかね!?とずっと思っていました。

今は、専業主婦で、夫にフリーライドしているような状態です。

それが、田舎感覚では、なかなか珍しくないことも分かっているのですが、やはり東京のキャリアウーマンから見たらつまんないと思うよなぁと本を通じて改めて自分を見つめたような気分です。

それに、私には子供もいません。

なんだか、田舎人の見本とも違う、どこにも属していない、不完全な存在のような気がしてとても悲しくなりました。

でも、実際、私自身は浮遊しているような存在で、そんないいものでもないんですよ。

そんなことを思い、この本とすごくリンクするなぁと感じました。

 


以上、『一心同体だった』の感想でした。

読みやすいのですが、めっちゃエグられる作品でした。

特に女性は、共感する点が多い本かと思います。

 

さて、次読む本はまだ未定です。

よかったら、おすすめの本教えて下さい!

では、また。

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