村田沙耶香さんの『きれいなシワの作り方〜淑女の思春期』というエッセイを読んでいる。
本の中で「年齢に合ったいいもの」についての文章があった。
個人としての純粋な物欲と、世間からの大人とはそれ相応に良いものを身につけなければならないという価値観への戸惑いについての文章だった。
今年の春、高校の同級生二人と会った時、彼女らが私のバッグを褒めてくれた。
そのバッグは約800円で購入したものだった。
そして、友人二人がそれぞれ持っていたのはステラマッカートニーとセリーヌのバッグだった。
ちょっと笑ってしまった。
あなたたちのバッグのがよっぽど素敵じゃないか!!
引け目など感じていないつもりだったが、値段だけでなく、もちろん品質もデザインも彼女たちのバッグの方が当たり前に素敵だったのだ。
そして、「年齢に合ったいいもの」を持つってこういうことなのだなと思った。
その一件以降、ちょっと良いバッグを買いたいという欲が出始めた。
それから半年がたった初秋の今、私が欲しいものはオレンジ色の自転車である。
自転車でポケモン GOをやりたいと思ったのだ。
正直、このエッセイを読むまでバッグのことは忘れていた。
「年齢に合ったいいもの」を語る以前に年相応の精神年齢を身につけたいものである。