高校一年生になる前の春休み、親友とタイムカプセルを埋めた。

小学校の裏にお互いへの手紙を埋め、10年後に開ける約束をした。

そして、しっかり10年後、26歳の頃、ついに開封日を決め、決行に移すことにした。

 

掘り起こす前に、バトミントンがしたかったので、親友と一緒に公園でバトミントンをしてピクニックをした。

その後、近くのスーパーへ寄ってからタイムカプセルを掘り起こすことにした。

スーパーへ行ったら親友の初恋の男の子が、奥さんと子どもを連れて買い物をしているところに遭遇してしまった。

その男の子は、小学生の頃から身長が高くて、サッカーが上手くて、女の子に優しかった。

多分、学年で一番モテたと言っても過言ではない。

しかし、彼は高校生になる頃には髪がもっさりしたギャル男になっていた。

生活も乱れてしまったとかなんか色々噂には聞いていた。

そんな彼が、グローバルワークの服が似合うようなナチュラルなかっこいいパパになっていたのだ。

もう日サロには通っていないであろう、めっちゃ落ち着いた爽やかなパパになっていたのだ。

奥さんも娘さんとお揃いの服を着ていてとても素敵だった。

 

その姿を見た後で私たちはタイムカプセルを探しに行ったのだ。

不審者として通報されないようにスコップ片手に恐る恐るタイムカプセルを探したのだった。

スコップを持って、憶えてもいない宝を探す。

そしてどちらからともなく心の内を吐露する。

「私ら、子どももいないのに、公園でバトミントンして、ビクビクしながら土を掘り起こしている。。。」

そして、タイムカプセルを埋めた場所の近くに住む同級生のことを思い出し、

「○○ちゃんは赤ちゃん産んでから事業立ち上げたんだよね。」

とさらに自分たちを追い詰めた。

周囲の成長と成長していない自分たちの間にある溝に落ちてしまった。

 

結局、テンションが足りなかったのと、埋めた場所が分からなかったことで、タイムカプセルは見つからなかったのだが、なんだかんだあの日見つからなくて良かったような気がする。

あの日、過去の自分たちからの期待を目にしてしまったら今度は私たち自身が土に埋まりたくなっただろう。

あれからまた5年が経った。

私たちはタイムカプセルを開けられるほど大人になれたのだろうか。

asukal

くまの○ーさんでいうところの○リストファー○ビンのポジション

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